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7.142016
人を説得する三要素(アリストテレス哲学)
こんにちは、米内です(^^)
本日は、以前のブログで人気のあった記事を再掲いたします。
どのように人と関わると、周囲からの信頼を得て良好なコミュニケーションを築けるか考察します。
ギリシャ時代に存在したアリストテレス哲学には、「人を説得する三要素」というものがあります。
その三要素は、「エトス」「パトス」「ロゴス」です。
エトスとは、信頼のこと。
英語のEthics(倫理)の語源とも言われている言葉です。
つまり、人と人との信頼関係が強ければ、相手を説得することができる。
逆に信頼がなければ相手を動かすことは難しい。
パトスとは、情熱のこと。
英語のPassion(情熱)の語源であり、まさに熱い思いが人を動かす、ということです。
そして、ロゴスとは、論理のこと。
英語のLogic(論理)の語源でもあり、理論や理屈で人を説得する動きを指します。
アリストテレスは「人を説得する三要素」としてこの三つをあげています。
この三要素をもとに、ある事例について検討してみましょう。
以下の問に対して、三つのグループが話し合って1つの結論を出したとします。
Question
あなたは友だちが運転する車の助手席に乗っています。
車は一般道を抜けて、高速道路に入りました。
あなたの友だちはグングンとスピードをあげていきます。あなたは恐怖を感じています。
さて、あなたは、どのような言葉をかけて、友だちにスピードを緩めてもらいますか?
【チームAの解答】
我がチームでは以下のような言葉をかけよう、となりました。
それは、『そんなにスピードを出すと、燃費が悪くなるよ』です。
コスト意識に訴えて、スピードを落とそう、という狙いです。
<チームAの解答の考察>
燃費を持ち出して、経済的観点から説得しよう、というわけですね。
ということは、これはロゴス(論理)での説得になります。
【チームBの解答】
我がチームでは、単純に『危険だからスピードを落とせ』となりました。
いろいろなアイディアは出ましたが、普通が一番いいだろうと。
<チームBの解答の考察>
『危険だから』『スピードを落とす』、つまりは先と同じくロゴス(論理)で説得しています。
一方で、『危ないぞ!』と大きな声で叫べば、それはパトス(情熱)にもつながります。
したがって、ロゴス(論理)とパトス(情熱)の側面で説得している、ということになります。
【チームCの解答】
我々はこれまでの皆さんとはずいぶん違う伝え方になりました。
それは、『僕はあなたを100%信頼しているからね』というものです。
<チームCの解答の考察>
『あなたを信頼している』
この言葉を言われた運転手はどのような気持ちになるでしょうか。
あっ、オレだけの車じゃない。オレだけの都合じゃない。
大事な友人を乗せているんだ。そして、信頼してくれているんだ。
そういう視点に気づき、ハッとする可能性が高くならないでしょうか?
これは「エトス」での説得になります。
エトス、パトス、ロゴスは、どれも大切です。
どれか一つがあればいい、というものではない。
人を動かすには、そのすべてが必要でしょう。
しかし、この三つには順番があります。
エトス、パトス、ロゴス、の順番になります。
つまり、最初にエトス(信頼)ありきであり、互いに信頼関係ができていなければ、
いくらロゴス(論理)で説得しても、人は動かないでしょう。それはパトス(情熱)も同じです。
まずは、エトス(信頼)が必要。
その上にパトス(情熱)が必要。
最後にロゴス(論理)が乗っかる。
この順番は4000年前から不変なんだと思います。
私たちは相手を説得しようとする時に、ついつい、ロゴス(理論)で説得しようと試みます。
しかし、それでは中々うまくいきません。そこで、だんだんと焦ってきます。イライラとしてくる。
そして「なぜ、わかってくれないんだ!」と力で押し切ろうとする。パトス(情熱)の出番です。
順番が間違っていると思うのです。
まず初めにエトスありき。
エトス、パトス、ロゴス。この順番がとても大切。
私たちの常日頃のコミュニケーションの癖がいざという時にもそのまま出てしまうんでしょうね。
アリストテレスの約2000年前の知恵を生かしていきたいですね。
では!
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