気道異物

要点

  ①小児や高齢者の喘鳴の原因として、気道異物の可能性を考慮する
  ②発声や咳嗽が可能かどうかを評価し、窒息かどうかを判断する
  ③窒息ではない気道異物の検索として、単純CTを考慮する

Points
・Aの異常を疑った場合は、気道確保を最優先し、酸素投与、マスク換気などを試みる。
・気道異物を疑った場合はHeimlich法や吸引、マギール鉗子を使用した異物除去を試みる。
・異物除去困難であれば外科的気道確保を行う。

総論

気道異物とは異物により気道が狭窄または閉塞した状態。
乳幼児の気道閉塞の原因として、豆類や玩具によるものが多い。
高齢者では食物誤嚥や痰詰まりによる気道閉塞をきたし心停止(CA:Cardiac Arrest)で搬送されることもある。
気道異物全体の約80%は3歳未満の小児に起こる。

主訴

窒息、呼吸困難、喘鳴など

General & Vital signs

症状が乏しいものから、急激に呼吸状態が悪化し窒息となり心停止(CA:Cardiac Arrest)で搬送されるものもある。
気道異物の特徴的な所見として、チョークサインを認める場合もある。

鑑別疾患

急性喉頭蓋炎、アナフィラキシーショック、気道熱傷など

医療面接・診察

医療面接
  本人から聴取不能な場合が多く、家族や救急隊からも積極的に情報を聴取する。
  発症状況や異物は何か(必要なら異物の数)をしっかり確認する。
診察
  Stridor(吸気性喘鳴)、気道狭窄音、呼吸音の左右差を確認。
  口腔内異物の確認(視診で確認が困難であれば、喉頭鏡や喉頭ファイバースコープの利用を考慮)。

検査

単純CT(異物を確認)
腹部単純X線(消化管異物が疑われる場合)

治療

①気道確保
  心停止(CA:Cardiac Arrest)であればCPRを開始する。
  まずは用手的気道確保(頭部後屈顎先挙上法・下顎挙上法など)を試みる。
②異物除去
  開口で見える異物は吸引、マギール鉗子で摘出する。
  緊急度が低く、意識が清明ならまず咳などを促し自己除去を試みる。
  自己除去困難であれば、Heimlich法(腹部突き上げ法)や胸部突き上げ法、背部叩打法を考慮する。
  ※1歳未満の乳児、妊婦には腹部突き上げ法は禁忌!
③外科的気道確保
  異物除去困難と判断したら、輪状甲状靭帯穿刺または輪状甲状靭帯切開を行う。

緊急摘出すべき異物
・咽頭異物:気道閉塞している異物、魚骨
・気道異物:呼吸障害をきたす異物
・消化管異物:ボタン電池(アルカリ)、プラスチック薬物包装物(PTP)

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