アナフィラキシー

要点

  ①皮疹+ABCD(1つ以上)でアナフィラキシーを診断する!
  ②診断後、ショックならすぐにアドレナリン0.3mg筋注!
  ③アドレナリン無効例では、グルカゴン(1mg/1単位/1A)1〜5A静注を考慮!

Points
・喉頭浮腫による上気道閉塞は死亡の主要原因!
・アドレナリン筋注はAirwayの確保の手段という認識を持つべし!

総論

外来物質の侵入が原因となり、それに対する急激な生体反応の結果、循環器系、消化器系、呼吸器系、皮膚などの広汎な臓器が障害を受ける病態をアナフィラキシーといい、これが重篤となり循環・呼吸不全に陥る場合をアナフィラキシーショックという。
IgEを介したⅠ型アレルギー反応によって起こるものだけではなく、補体を介するⅢ型アレルギーや同様の症状・経過をたどるそれ以外の病態もアナフィラキシーショックと呼ぶ。

主訴

皮疹+ABCD(1つ以上)でアナフィラキシーを診断する!
  皮膚症状:皮膚の紅潮、蕁麻疹、眼瞼浮腫、血管浮腫、掌や足底の軽い掻痒感
  A(上気道症状):嗄声、のどの狭窄感、のどや口腔内の掻痒感、舌や口唇の浮腫
  B(下気道症状):喘鳴、呼吸困難、胸部絞扼感
  C(心血管系):冷汗、血圧低下、頻脈、胸部不快感、チアノーゼ、意識消失
  D(消化器症状):悪心、嘔吐、腹痛、下痢
※ただし、皮疹がはっきりしない場合やない場合(特に腹部症状メインの時)もあることを認識しておく!

General & Vital signs

上気道閉塞は、今Vitalが安定していても今後急に悪くなっていく可能性が高い。
進展すると低血圧、顔面蒼白、喘鳴、呼吸困難、意識消失、血圧低下をきたしてショック状態となる。

鑑別疾患

①Stevens-Johnson症候群(内服薬を要確認!)
  →粘膜(眼球や口腔など)に水疱形成。薬物アレルギーの重症型で致死率が高い。
②ヒスタミン中毒(サバなどの青魚摂取を確認!)
  →アナフィラキシーと同対応。しかしアレルギーではないため今後も青魚の摂取OK!

医療面接・診察

医療面接
  アレルギーの原因(不明な場合が多い)
  ※症状出現30〜2時間前の接触・摂取物が原因としての可能性が高い!
診察
  stridor・喘鳴の有無、循環動態や意識レベル
  全身の皮膚所見

検査

検査前に診断することが重要!医療面接と身体診察が診断と救命のカギを握る!

治療

①アドレナリン筋注
  0.3~0.5mgを大腿四頭筋or三角筋に筋注
  ※必要ならば10~15分毎に繰り返す
②気道確保・100%酸素投与
  アドレナリン筋注で改善を認めなければ、気管挿管・輪状甲状靭帯切開・緊急気管切開も考慮
③輸液
  生理食塩液500~1000mlを全開投与(循環血液量の確保目的)
④ステロイド
  ソル・メルコート®125mg+生食100mL(即効性なし。重篤な反応の再燃を防ぐ目的で投与)
※アスピリン喘息患者にはデキサート®6.6mgを静注!(コハク酸はアスピリン喘息を増悪させる可能性あり)
⑤抗ヒスタミン薬
  H1-blocker(レスカルミン®1A)+H2-blocker(ファモチジン®1A)+生食50〜100mL
※ショック状態でなければ、④と⑤のみの治療となる場合もある。

Discharge or Admission Criteria

原則、経過観察目的に1泊入院を考慮。
軽症例は十分な説明の上、帰宅も考慮する。
※入院の目的は、二相性反応(Second attack)を引き起こす場合に備えるため!
   Second attackは4~8時間後に症状が再燃する場合が多いのが特徴である。

診療上のポイント・アドバイス

β-blocker内服患者などでは、アドレナリン筋注が効かないことがある。
アドレナリン筋注が無効だった場合、グルカゴン(1mg/1単位/1A)1〜5Aのワンショットが有効である。

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