急性虫垂炎
①嘔気・心窩部痛の時点で虫垂炎を疑う!
②あらゆる腹痛で虫垂炎を疑う!
③コンサルトする際、手術適応を左右する情報(糞石・穿孔・腹膜炎・膿瘍形成の有無)を伝える!
Points
虫垂炎は頻度も多いが非典型例も多く、胃腸炎として対処されやすい。
見逃すと危険な場合があるので要注意!
急性虫垂炎は急性腹症の中でも高頻度にみられるため、
腹痛を訴える患者を診たら必ず念頭に置かなければならない疾患である。
見逃すと穿孔し重症化するケースも多いので、的確かつ迅速な診断を行い外科にコンサルトすることが重要となる。
典型的には、食思不振、嘔気・嘔吐→心窩部痛→右下腹部痛へ限局
※高齢者や小児では症状が典型的でないことも多く、右下腹部痛以外の腹痛でも虫垂炎を鑑別に挙げること!
痛み
・穿孔する直前に最大の痛みがあり、穿孔後に痛みが軽減する場合があるため、
症状が楽になったからといって安易に帰宅させないこと。
・虫垂炎術後でも断端虫垂炎の可能性は否定できない。
Generalは様々であり、初期は微熱程度にとどまることが多い。
高熱を認める場合は、別の疾患か虫垂炎の重症例である。
憩室炎、腸間膜リンパ節炎、尿路結石症、婦人科疾患(異所性妊娠、子宮内膜症、卵巣出血など)
医療面接
嘔気→腹痛(腹痛から嘔気と続く場合は他の疾患の可能性が高まる)
腹膜刺激症状(歩くと痛みあり)
診察
McBurney点圧痛、psoas徴候、反跳痛
【psoas徴候】
血液検査:CBC、生化、凝固、血液ガス ※凝固を忘れない!感染症・血型は後から追加可能!
腹部(胸部)Xp:free airの有無、イレウスなどの他疾患の除外に有用
腹部エコー:虫垂腫大(外径が小児で6mm、成人で8mm以上を腫大とする)
壁肥厚の有無、糞石・腹水・膿瘍の存在を見逃さないこと!
腹部単純+造影CT:虫垂腫大(外径≧6mm)、壁の造影効果、噴石の有無(単純で確認)
周囲の炎症所見(脂肪組織の炎症性浮腫による濃度上昇、腹膜・筋膜の肥厚、液貯留)
エコーでの虫垂の描出
・腹部エコーでの虫垂と回腸の鑑別点は、虫垂が圧迫で形が変わらず蠕動がなく内容液の動きも認めないこと。
・カタル性では炎症が筋層まで及んでいないため三層構造がはっきりしており、保存的経過観察が可能。
・蜂窩織炎性では炎症が筋層に及び三層構造が不透明化し蠕動も弱くなり、手術適応。
①絶食・補液・抗生剤(CMZ 1〜2g×4/day)
②外科コンサルトし、手術or保存療法を決定
急性虫垂炎と診断された場合は原則入院
虫垂炎での嘔気や微熱、心窩部から右下腹部への痛みの移動など、
患者の約半数は典型的な症状を認めるので、問診は注意して行う。
手術適応は、糞石・穿孔・腹膜炎・膿瘍形成がある場合や再発例など。
Alvarado score (MANTRELS)
Migration of pain(心窩部、臍周囲部→右下腹部へ移動) 1点
Anorexia(食思不振) 1点
Nausea(嘔気、嘔吐) 1点
Tenderness in RLQ(右下腹部圧痛) 1点
Rebound tenderness(反跳痛) 2点
Elevated temperarure(発熱>37.3℃) 1点
Leukocytosis(WBC>10000/ul) 2点
Shift of WBC count(白血球の左方移動) 1点
7点以上で虫垂炎疑われる!(10点中7点が、問診+身体所見の要素であり、診察が非常に重要!)