尿路結石症

要点

  ①大動脈疾患(解離、瘤)をしっかり除外すること!
  ②尿路結石症+尿路感染症はUrosepsisになり致死的になりうる!泌尿器科コール!
  ③しっかり疼痛コントロールを行う!ジクロフェナック坐薬が速効性あり!

Points
尿路結石症+尿路感染症は致死的になりうることを認識する!
・疼痛コントロールをしっかり行う!

総論

腹痛・背部痛を伴う泌尿器救急疾患の中で、ERで頻度が高いものとして、
尿路結石症、精巣上体炎、精巣捻転が挙げられる。
尿路結石症は大動脈解離と似て、痛くてじっとしていられない状況のことが多い。

主訴

腹痛(とくに側腹部痛)、腰痛、背部痛、血尿、嘔吐など

General & Vital signs

・尿管結石に伴う痛みは激烈であり、背中を押さえながら激しく痛がる(疝痛発作)。
・脱水により発症しすく、時間帯としては早朝に起こりやすい。
悪寒や発熱など感染症を疑うエピソードがある場合は、結石性腎盂腎炎・Urosepsisの可能性を考える。
大動脈解離を念頭に血圧左右差を認めないかを確認する。

鑑別疾患

血管系 :大動脈解離、大動脈瘤切迫破裂、腎破裂、腎出血
筋骨格系:急性腰椎症、筋肉痛、肋骨骨折、腰椎骨折、外傷
消化管系:腸炎、虫垂炎、憩室炎
婦人科系:女性であれば婦人科疾患の鑑別も必要(婦人科の急性腹症を参照)

泌尿器緊急疾患
・尿路結石 
・精巣上体炎
・精巣捻転
・膀胱炎、腎盂腎炎
・尿道炎
・前立腺炎
・嵌頓包茎
・尿閉

医療面接・診察

医療面接
  現病歴:痛みのOPQRST、尿の性状(血尿・膿尿の有無など)
  既往歴:大動脈疾患、泌尿器系疾患
診察
  腹部:CVA叩打痛、腹膜刺激症状の有無など

検査

血液検査:CBC、生化、凝固、CRP
尿検査:尿沈渣、尿一般(潜血反応も確認
腹部エコー:水腎症・大動脈瘤の有無の確認 ※可能であれば、尿検査の排尿前に実施すると良い
腹部Xp(KUB):結石の有無を確認
胸部単純CT:Xpで結石が明らかでない場合 ※単純で結石がなく大動脈疾患が疑われる場合、造影も追加

治療

①鎮痛薬
 ジクロフェナクNa(ボルタレン®)25〜50mg 1錠(坐薬or内服)
 ※ERでは速効性のある坐薬が良い。帰宅時は頓用内服処方で十分。
②排石促進
 水分摂取・補液により排石を促進。
 結石が5mm未満の場合や、遠位に存在の場合は自然排石が期待できる。
③その他
 感染を伴っている場合、D-Jステント留置の適応であり、泌尿器科Drに緊急コール!

鎮痛薬
ジクロフェナクNaで効果がない場合、以下の薬剤を考慮。
 ①ソセゴン(15mg/A) 1A iv
 ②ブスコパン(20mg/A) 1A iv 尿管蠕動抑制作用あり
 ③モルヒネ(最終手段)

Discharge or Admission Criteria

・疼痛コントロールがつかない場合や、D-Jステントが必要な症例は入院。
・疼痛コントロール良好の場合、水分摂取励行・鎮痛薬処方にて帰宅可。

診療上のポイント・アドバイス

・帰宅後、鎮痛薬が効かない場合や発熱認めた際はER再受診または、泌尿器科受診するよう説明する。
※発熱を認めた場合、結石性腎盂腎炎やUrosepsisを合併している可能性があるため要注意!

ページ上部へ戻る