痙攣
①頸動脈の拍動を確認(心停止除外)しながら、痙攣の型(左右差・上下肢差・眼球など)を観察する
②頸動脈触知・痙攣の観察後、直ちにセルシン®10mgを静注or筋注し痙攣を止める
③痙攣重積発作の場合、アレビアチン®(20mg/kg)の持続静注を検討する
Points
痙攣を見たらまずは心停止を除外し痙攣の型を観察しつつ、痙攣を止めることが重要。
即効性のあるジアゼパム(セルシン®)が第一選択である。
痙攣発作は、通常数秒~数分間持続して自然に休息することが多く、その後しばらく症状は見られない。
意識が回復する前に再び痙攣発作を来す場合、痙攣発作が10~15分持続する場合を痙攣重責発作と呼ぶ。
痙攣発作は、しばしばてんかんと混同される。
てんかんは痙攣発作を繰り返し起こす疾患の名称であり、
痙攣発作はてんかんだけでなく様々な病態で発生する一つの症状である。
痙攣、意識消失、全身の不随意運動
意識レベル低下、血圧上昇、頻脈であることが多い
失神と痙攣を鑑別することが重要!
痙攣の原因検索として、以下の状態を鑑別に挙げる。
Critical:低酸素、ショック、低血糖、高血糖、脳血管障害、頭部外傷、髄膜炎・脳炎など
その他:電解質異常(低・高Na、低Ca、低Mg、低P)、アルコール、甲状腺クリーゼなど
医療面接 ※目撃者の証言も非常に重要!
①現病歴
初発かどうか
発作の時の状況を覚えているかどうか
幻聴・幻視などの前兆や音や光による誘因があったか
発作時の眼球上転の有無
発作様式(左右差、上下肢差、強直性・間代性)・発作時間 ※強直性の場合、不整脈(VT, Vf)の場合あり!
抗痙攣薬を内服している場合、飲み忘れが無かったかどうか
②既往歴
小児期の熱性痙攣の既往(ある場合、複雑性かどうか)
その他の既往歴(てんかん、甲状腺疾患など)
③その他
てんかんの家族歴
アルコール飲酒歴
内服薬(抗痙攣薬、インスリンや経口血糖降下薬、抗不安薬や抗精神病薬など)
診察
頭部外傷の有無、神経学的所見、瞳孔(径・対光反射)
舌や口唇の咬傷・尿失禁の有無
簡易血糖:低血糖・高血糖を除外
血液ガス:Lac上昇を認めれば、痙攣の状況証拠となり得る
血液検査:CBC、生化、凝固、薬物血中濃度(バルプロ酸など)
頭部CT:原則撮影。てんかん既往患者で症状改善している場合はskip検討可
心電図:失神の可能性もあり得るため必ず確認する
その他:頭部MRI・腰椎穿刺(脳炎、脳症、脳梗塞、髄膜炎を疑う状況の場合のみ考慮)、脳波(入院後)
①ABCの確認・確保、BVM・挿管の準備(セルシン®の呼吸抑制に備える)
②低血糖の場合
・50%ブドウ糖2A(20mL/A)iv
※アルコール依存症の可能性があれば、アリナミン®(ビタミンB1)2A iv も追加
③痙攣を止める
・セルシン®(ジアゼパム)10mg ivまたはim(5分おきに2〜3回静注or筋注可能)
④痙攣重積の場合
・アレビアチン®(250mg/5mL/A)20mg/kg div ※1A(250mg)に対して5分以上かけて投与
(例)体重50kgの場合:アレビアチン®1000mg/4A+生食div(20分以上)
※痙攣が持続する場合は、気管挿管+ミダゾラムorプロポフォールの持続静注が必要になる。
アレビアチン®の注意点
①血圧が低下する
②アレビアチン投与によりデパケンの血中濃度は下がる。
デパケン怠薬の場合の痙攣はアレビアチン投与により増悪する可能性があるので、既往歴・内服薬を確認する。
③溶解液には生理食塩水だけを使用する。リンゲル液やブドウ糖液と混合すると結晶化してしまう。
ヘルペス脳炎の治療
ゾビラックス®(アシクロビル 250mg/A)1回10mg/kg 1日3回投与 14日間
※1時間以上かけて投与すること
重積発作、初発の痙攣、原因不明の痙攣、呼吸管理を要した痙攣は停止した後も入院して経過観察。
持続する場合はICUで挿管のうえ全身麻酔、脳波モニタリングを行う。
「痙攣を伴わない意識障害」もある。「痙攣発作」なのかを見極める必要がある。
患者本人が意識障害のため病歴聴取が困難なことがあるため、
家族などが痙攣発作を目撃した場合は、当時の様子を詳しく説明してもらう。
また、過去のカルテから同様の発作の有無、既往、薬剤歴などを調べる。