感冒
①鼻症状・喉症状・咳症状の程度を問診で確認する。
②発熱・倦怠感症状だけで風邪と診断しない!
③感冒は抗菌薬不要であり対症療法が基本。PL顆粒は安易に処方しない!
Points
・感冒を感冒と診断する基本アプローチを理解し、感冒に紛れた感冒以外の疾患を診断する
・「細菌感染vsウイルス感染」の違いを理解する
・「局所臓器症状不明瞭+高熱型」は風邪と誤診されやすいため、発熱だけで風邪と診断しない!
・悪寒戦慄の病歴の有無を必ず確認し、敗血症を拾い上げる!
感冒とは自然観解するウイルス性上気道感染症のこと。
多くは咳・鼻汁・咽頭痛といった多彩な症状を呈する。
一般的な感冒には抗生剤治療は不要であり、対症療法による自然治癒が基本である。
発熱、倦怠感、鼻汁、咳嗽、咽頭痛など
比較的GeneralやVital signは良い。
いずれかが崩れているときは、安易に感冒と診断してはいけない。
鼻症状メイン型:アレルギー性鼻炎、細菌性副鼻腔炎
喉症状メイン型:A群溶連菌性咽頭炎、伝染性単核球症、GERD 、
killer sore throats(急性喉頭蓋炎、扁桃周囲膿瘍、Ludwig angina、Lemierre症候群)
咳症状メイン型:肺炎、気管支炎後咳嗽症候群、後鼻漏、咳喘息、GERD、百日咳、結核
医療面接
鼻症状・喉症状・咳症状の程度を確認
→急性・同時期・同程度であれば、一般的な風邪と診断できることが多い。
悪寒戦慄の有無を確認(敗血症を拾い上げる)
いずれかの症状(鼻・喉・咳)が優位である場合、細菌感染症の有無を評価
鼻症状メイン型
鑑別:細菌性副鼻腔炎
特徴:症状が二峰性、片側頬部痛、うつむいた時の前頭部もしくは頬部の重い感じ、上歯痛、膿性鼻汁
喉症状メイン型
鑑別:A群溶連菌性咽頭炎、伝染性単核球症、killer sore throats
特徴:咽頭痛≠嚥下時痛→咽頭痛はあるが、嚥下時痛がない場合は要注意!(AMIや大動脈解離等も考慮)
Center criteria(A群溶連菌性咽頭炎)や開口障害(扁桃周囲膿瘍を示唆)の有無を確認
嚥下時痛の訴えがあるにも関わらず、咽頭所見が軽い場合は急性喉頭蓋炎も念頭に置く!
咳症状メイン型
鑑別:細菌性肺炎、喘息
特徴:胸部聴診所見(coarse crackleやwheezeなど)、Diehr診断ルール
喀痰グラム染色、胸部Xp、インフルエンザチェック、A群溶連菌検査など
一般的な感冒の原因はウイルスであり抗生剤は不要。症状が強い場合に対症療法を行う。
処方例
・咳嗽:メジコン®15mg 頓用(1回1〜2錠) ※リン酸コデインは便秘の副作用あり
・鼻汁:カルボシステイン500mg 3錠分3(食後)
・咽頭痛:桔梗湯2.5g 3包分3(食前)、アセトアミノフェン200m 頓用(1回2〜3錠)
※PL顆粒を安易に処方しない!(副作用多数あり)
バイタルが不安定でない限り、一般的な感冒は原則帰宅。
・高熱が出るだけで、気分不良・嘔気・筋肉痛・関節痛・軽い頭痛が出現する場合が多く「局所臓器症状不明瞭+高熱型」は風邪と誤診されやすい。
・他疾患の初期症状は感冒様症状である場合がある。症状が増悪した場合、1週間以上続く場合は再診するように説明する。