憩室炎
要点
①限局した腹痛・発熱から憩室炎を鑑別に挙げる!
②膿瘍形成・穿孔の有無を評価し、消化器内科or外科にコンサルト!
③憩室炎治療の基本は、絶食・補液・セフメタゾール!
総論
大腸憩室とは、大腸粘膜が腸管壁の筋層を貫いて外部に突出し、嚢状になった状態を言う。
憩室は欧米では90%以上がS状結腸に発生するが、我が国では70〜75%が右側結腸に発生し、
右下腹部痛を主訴とすることが多いため、憩室炎は虫垂炎との鑑別に悩むことが多い。
主訴
限局した腹痛、発熱など
General & Vital signs
憩室炎は通常微熱を認めるが、重症例ではBT>38℃となる
鑑別疾患
虫垂炎、イレウス、急性腸炎、尿路結石など
女性なら、婦人科系疾患(子宮外妊娠、卵巣捻転、付属器炎)も鑑別に挙がる
医療面接・診察
医療面接
過去の憩室炎の既往の有無
診察
基本的な腹部診察(軽症〜中等症の憩室炎では、病巣部の限局した圧痛を認める)
腹膜刺激症状の有無
検査
血液検査:CBC、生化、凝固、CRP ※腹膜刺激症状を認め手術の可能性があれば、血液型・感染症も追加
腹部単純+造影(門脈相)CT:憩室の有無、憩室周囲の脂肪織濃度上昇の有無、膿瘍・free air・腸管外ガスの有無
治療
絶食・補液・抗生剤(例:CMZ 1〜2g×3/day ※E.coliなどグラム陰性桿菌とB.fragilisなど嫌気性菌をカバー)
Discharge or Admission Criteria
原則入院
診療上のポイント・アドバイス
憩室炎は膿瘍形成・穿孔の可能性があり、悪化した場合は手術となることを説明すること